高田世界館への道! vol.16 「あ、なんか、共有しちゃった」

今日の更新はスタッフ、馬場から!

突然ですが、最近『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』という映画を観ました。 

1969年、ウッドストックが開催された年の夏に行われたもうひとつの音楽フェスティバル、“ハーレム・カルチャラル・フェスティバル”のドキュメンタリー作品。それは革命前夜であり、確かに何かが変わると予感されたそのフェスの映像素材は、「黒人のためのフェスなど誰も興味がなかった」という理由で、放映されることなく50年以上も地下に眠り続けたままだったそうです。そこには、人種もジャンルも超えて音を鳴らし、魂を震わせ、アーティストも聴衆もそれぞれの存在やルーツに誇りと尊厳を抱いて生き、闘う姿が残されていました。 

とか私がいうのもめちゃくちゃ陳腐な感じになってしまうので、ぜひ皆様映画館で…!

映画館って不思議な空間だなぁと思います。大体初めに映画を観るときのマナーについての申し送りがあった後、スクリーンが少し広くなったりして、暗転の後そっと映画が始まるあの瞬間。開演のブザーが鳴ったりすると余計にテンションが上がったり。他人同士が1つの空間に集まって、映画を観ている間だけひとつの共同体になる感覚。

何より好きなのは、エンドロールが終わって徐々に明るくなる瞬間です。皆が「ふう」と一息つくときもあれば、なんとなくざわざわするときもあるし、あちらこちらで「おもしろかったね」と聴こえてくるときもあったり、なんかちょっと気まずい雰囲気になったりもしたり。ちなみに『サマー・オブ・ソウル』の後は、みんな口々に「これはやばい」ってささやいてました。語彙力。

同じ作品を共有した同志たちが他人に戻っていくのだけれど、その空間や時間を共にしてしまった以上、私たちは何かが変わっているのだと気づかされるあの瞬間がなんとも癖になる、私にとっての映画”館”体験の醍醐味です。

この1年ちょっとの間で、ライブハウスや映画館、劇場などに足を運ぶという習慣が少しずつ失われてきてしまったように思います。そしてそれが少しずつ、私たちの日常になってしまいつつあります。 

それでもやっぱり、「あ、なんか、共有しちゃった」というあの体験は、私たちの日常からなくなってほしくないし、なくしたくない。

11月3日文化の日、小野雄大が映画館で弾き語りライブをします。

会場である高田世界館は100年をこえる歴史を持つ映画館です。常設映画館となったのは1916年、なんと大正5年だそうです。

あの名作『ニュー・シネマ・パラダイス』で描かれていた、映画を求め村の映画館「パラダイス座」に人々がひしめき合うあの光景は第二次世界大戦直後。それより30年前もから存在し、そして今もなお営業を続けているということになります。この100年間、どれだけの人たちが高田世界館に足を運び、どれだけの感情がうまれたのか、想像しただけでもわくわくが止まりません。

そんな高田世界館という場に、小野雄大の音楽が響きます。そして今年は有観客、つまりそこにご来場くださった皆様の感情も混じります。もちろん、インターネットが普及した現代、配信を観てくださる皆様の想いも新潟・高田の地に届きます。

それぞれの場で、それぞれのスタイルで、「あ、なんか、共有しちゃった」という気持ちになれたら。そして皆様の、私たちの次の日からの生活がちょっとだけ変わったと思えるような、そんな日にできたらいいなと思います。 

2021.9.29.

小野雄大公式ホームページ

シンガーソングライター小野雄大の公式ホームページ。

0コメント

  • 1000 / 1000